セブ親子留学で子供が泣いた?英語の嵐に「拒絶」した5歳児の実録レポート


 親子留学を決めたとき頭によぎったのは「24時間英語漬けの環境で、子どもの英語力がみるみる上達する姿」でした。

 出発前の日本で、子どもたちは「セブ楽しみ!」と騒いでいました。でもそれは、学校を休んで南の島に行く楽しさからくるもの。「英語を学びに行くんだよ」と繰り返し説明し、その度に子どもはうなずきますが、理解は深い部分までは及んでいませんでした。

 だから当然かも知れません。セブの地に降り立ち、学校の門をくぐった瞬間突きつけられたのは、英語という「嵐」の前に沈黙する子どもたちの姿でした。

沈黙のマンツーマン ── 「MAMA」しか言えなかった45分

 初日、朝9時から始まった授業は、まさに怒涛の展開。現地で目の当たりにした子どもの反応は、親の期待を大きく裏切るものでした。学校から渡されたスケジュールを把握する間もなくベルが鳴り響き、1回目の授業が始まります。

 初回は兄弟一緒のグループレッスンです。教室には驚くほど明るい先生が待っていました。長男は緊張していましたが、5歳の次男はいつも通り。ただ楽し気に兄の後を付いて行っていました。

 先生が明るく「Good Morning!」と迎え入れてくれます。とびきりの笑顔で話しかける姿は、自信たっぷりに見えました。その様子を見て「きっと大丈夫」そう思った私は、早々に部屋を去りました。

 しかし45分後、状況は一変します。

 先生に手を引かれ、半分泣きながら次男が戻ってきました。先生は困ったような表情で「彼は全く話さない。口にしたのは『MAMA』だけです」と簡潔に私に説明しました。

 次男は無言で私に抱きついてきました。お喋りな次男が何も言いません。

 一方、遅れて戻ってきた長男の表情には、苛立ちが滲んでいました。「弟は何もしない。教科書も置いて行くから、僕が全部持っている」。彼の肩には、英語が分からない恐怖と、兄としての責任感、そして2人分の教科書の重みがのしかかっていました。

 子どもたちの心は、スタートから限界を迎えていました。

英語漬けに順応できない子どもと親の執着

 2コマ目から授業はマンツーマンレッスンに変わりました。私は「環境と先生が変われば状況も変わるかも」という淡い期待を持って子どもを送り出します。

 もちろん状況は好転しません。

 午後に入ると、状況はさらに悪化しました。次男がついに入室自体を拒否し、長男も「もう疲れた。部屋に戻りたい」と訴えてきたのです。

 「何のためにきたのだろう」気持ちが焦りました。私は「とりあえず頑張ろう」と、慰めにもならない言葉をかけ2人を次のクラスへと送り込みました。

 この時の私は、目の前の子どもの状態より「英語を学ばせること」を優先していました。

勇気ある撤退 ── 「英語を嫌いにさせたくない」親の決断

翌日も同じことの繰り返しでした。次男は初めから「拒否」の姿勢。午前中は頑張れる長男も、午後には集中力が切れ、授業を受ける姿勢がゼロになっていました。

このままでは、子どもが英語嫌いになる

 その夜、私は長男と相談して授業を大幅に減らす決断をしました。

 授業を変えたい時は学校のマネージャーに伝えます。悩みぬいた上の決断でしたが、やはり緊張しました。
「私のわがままじゃないか」「無理やりにでも授業に参加させるのが親だ」という声が頭の中で渦巻きました。

 しかし、マネージャーの反応は意外なものでした。
「よくあることですよ。無理せずお子さんのペースで進めましょう」

心の余白が生んだ変化 ──長男が自発的に教室へ

授業を減らす決断をした結果、事態は好転しました。

 特に長男の変化は目覚ましいものでした。可能な限りリクエストに答えたのが良かったのかも知れません。
 「朝はゆっくり起きたい」「お昼ご飯の後は休憩したい」それが叶った彼は満足し、やがて自分から教室に走っていくようになりました。

 またKEN先生という男性講師との出会いも良い結果を生みました。意図した訳ではありませんが、午前中に1回、午後に1回、長男は同じ先生から英語を学ぶことになりました。自然と安心感が生まれました。

 相性が良かったのもありますが、長男がKEN先生を好きになったきっかけがあります。それは「自己紹介を覚えたい」とリクエストする前に、先生から「今日は自己紹介をやってみよう」と言ってくれたことでした。
 「自分のやりたいことを分かってくれる先生がいる!」感動した長男は一気に心を開きました。

 次男にも変化がありました。兄の姿に影響されたのか、あれほど強かった拒否が少しずつほどけていきました。フィリピン人の先生たちは授業中いつも大げさなくらい褒めてくれます。その言葉にまんざらでもない表情を見せるようになっていました。
  褒められると嬉しい、そんな当たり前の気持ちが戻ってきているのを感じました。

なぜ、子どもは拒絶したのか?3つの心理的要因

 私の子どもたちは日本の学校や保育園、塾では上手に英語を話せていました。なのになぜセブでは英語を楽しむどころか、沈黙し、苛立ってしまったのでしょうか。

 後になって気づいたのは、親が想像する以上に「英語だけで行われる英語の授業」は大変だったということです。特にセブ留学の売りであるマンツーマンレッスンは、子どもにとって大きな心理的負荷を与えていました。

考察①日本の英語教育はまやかしだった

 日本の教室ならあった「逃げ場」が、マンツーマンには一切ありません。日本で英語を学ぶ場合、必ず日本語を操れる講師がサポートに入ります。またデキる子の真似で何となく授業が成り立っていたりもします。でもマンツーマンの場合、本当に英語を理解していないとYESさえ言えません。英語で英語を学ぶことの難しさが、子どもの肩にのしかかりました。

考察②「理解できない」以前の認識のズレ
 次男は、先生の英語が「分からない」以前に、それが自分に向けられた言葉だと認識できていませんでした。先生が何度声をかけても、次男はそれを自分への呼びかけだとは受け取らず、目の前の本やおもちゃに視線を落とします。その姿は、先生を無視しているようにも映りました。
 親と子と教師の間に、大きな認識のズレがありました。私が状況を説明するまで、先生は「恥ずかしくて返事ができない子」だと受け取っていたのです。

考察③兄弟間のパワーバランス
 兄弟一緒の授業を受けるとき、弟はいつも兄に「先生は何ていってるの?」と聞いていました。兄もそれに答えられるほどの力がありません。兄としてのプライドや不公平感が長男の中に強い不満を芽生えさせました。

無理のない「親子留学スケジュール」

 今回、私たちが最終的に行き着いたスケジュールを公開します。これから行く方は、ぜひ無理な詰め込みをせず、この「余白」を参考にしてください。

時間活動内容備考
08:00ゆっくり起床・朝食親子でリラックスする重要な時間
09:501コマ目(グループ)兄弟一緒のレッスンで、初回のハードルを下げます
10:452コマ目(マンツーマン)
11:30昼食&2時間休憩ここでのリセットが午後に効く
13:353・4コマ目(マンツーマン)時には先生と相談し兄弟一緒に授業を受けることも
15:005・6コマ目(グループ)ラストは英語でスポーツする時間。楽しい!で一日を締めくくります
17:00授業終了・自由時間

 当初の「1日9コマ」という設定を約半分にしましたが、英語への意欲は倍以上になりました。※年齢や性格によって適正コマ数は大きく異なります。※グループレッスンは、兄弟2人のみのグループレッスンでした

親の役割は「管理」ではなく「観察」。留学を成功させる最大のポイント

 セブの語学学校は、望めば望むだけレッスンを入れられます。料金が同じなら「英語のシャワーを浴びせたい」と親が思うのは当然でしょう。けれど子どもには子どものペースがありました。大人と同じようにはならないのです。

 私は子どもたちの姿を観察し「英語が嫌いになる前に授業を減らそう」と決断しました。この引く判断が、今回のセブ親子留学を成功に導いたと思っています。

 この判断は、子どもが英語を楽しめるきっかけ作りにもなりました。
 授業を減らしてしばらくした頃、長男がこう言ったのです。
「僕ね、KEN先生の授業が一番好き!」
「先生ともっと喋りたい。だから英語を覚えたい」。
 その瞬間、私はセブ留学の本当の価値を知りました。勉強するための英語ではなく、コミュニケーションの為に英語を学ぶ、それこそが私が理想としていた姿でした。

 親の私は当初「少しでも沢山、英語を学ばせなきゃ」「結果を出さなきゃ」という焦りに支配されていました。でも「撤退する勇気」が、子どもの新しい扉を開いたのだと、今は確信しています。

~終わりに~

 今回、我が家は授業数を減らす選択をしましたが、どの学校でも対応してくれるわけではありません。制度として難しかったり、甘やかしになると判断されるケースもあります。
 我が家のようにペースを落とした方が伸びる子もいますし、詰め込み型が合う子もいます。一番大事なのは、選んだ学校の方針が家庭と一致していること。そして、万が一レッスンが合わなかった場合、学校がどこまで対応してくれるか把握しておくことです。

 正直に言うと、私はこの辺りかなり準備不足でした。たくさん授業を受けた方が良いと思い込み、ムリヤリ子どもたちに英語のシャワーを浴びせていました。
 もし早い段階で誰かに相談できていたら、違った初日を迎えられたかも…と少し後悔しています。

【まとめ:セブ親子留学を成功させる3つの鉄則】

1「子どもの反応」を最優先:最初はあえて「余白」を作る

2マンツーマンのプレッシャーを理解:逃げ場がない恐怖を親がフォロー

3学校との相性:子ども・親・学校の考え方が異なっていると大変です

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