空港に着けば安心?ではない、セブ親子留学の本当の姿
多くの留学サイトには「空港ではスタッフが出迎えます」「安心ですね」といったことが書かれており、私もそれを盲目的に信じていました。小さい空港だし特に困る事もないだろうと。
しかし子連れの場合は違っていました。飛行機を降りてから迎えのスタッフに合流するまでが、とても大変だったのです。夜のセブ国際空港で私は「親1人子2人で海外に来た」という現実に直面しました。
親子留学・到着初日のサバイバル。荷物より優先すべき一点とは
セブ国際空港に到着したのは夜の10時半。5歳の次男は着陸直前に寝入ってしまっていました。次男を抱え8歳の長男を視界に入れ、荷物を移動させながら入国審査の列に並びます。
限界でした。
私の腕は2本しかないのに、子どもは2人、荷物は4つ。注意を払わなければいけないものが多すぎて、目が行き届きません。海外にいるというのに、隙だらけになる私がいました。座り込んで動かない子ども、順番に行きたがるトイレ、なぜか長男だけ入国に必要な「eTravel」のQRが出ない…。ただ、時間だけが過ぎていきます。
「ピックアップの人、帰ってしまったかも」と心配になるほど、時間がかかっていました。
気持ちが焦った私は一つの決断を下します。
荷物より、子どもを優先しよう
「財布とパスポートさえ死守すれば、他は買い直せばいい」そう腹をくくり、目標を「外で待つピックアップとの合流」に絞りました。
空港には、語学学校の日本人スタッフと、別件で現地入りしていた宮村さんが来る予定でした。不安に押しつぶされそうになるたびに「この2人は何時間でも待っていてくれる」と自分に言い聞かせます。いい加減な学校だったら、私たちを待たずに帰ってしまったかもしれません。実際私は子どもの対応に時間がかかり、普通の人の倍以上の時間を要しました。
誰も教えてくれませんが、空港での「最初の難関」をどう乗り切るか。これも、子連れ留学で最も重要な準備のひとつだと痛感しました。
「病気」や衛生面への不安は?屋台飯や水のリアル
日本にいた頃は「氷は避けて」「屋台は危険」「移動は(配車アプリ)Grab一択」「絶対に一度はお腹を壊す」そんな言葉ばかり耳にしていました。
けれど、現地の生活に馴染んでみると、そこには全く別の世界が広がっていました。
無謀と思われるかもしれませんが、私たちは現地の人に交じって屋台のアイスを食べ、ココナッツを買い、料理もテイクアウトしていました。もちろん自分達なりに一定の基準を設けて買う場所やお店は選んでいますが、一律にすべてが危ないわけではないということを身をもって知りました。
幸運なことに、私たち親子は滞在中一度もお腹を壊しませんでした。それどころか、新鮮なフルーツやシンプルな食材の料理を食べるうちに、慢性的な便秘が解消され、体も自然と引き締まっていました。
「治安」を肌で感じる。おばちゃんが教えてくれた安心感
交通手段についても同じです。セブ留学では「安全で安いGrab(配車アプリ)を使いましょう」と紹介されますが、実際のところGrabは100~200ペソほど上乗せされています。値段だけなら流しのタクシー、さらに踏み込むならジプニーが安価です。
私たち親子はジプニー、バイクタクシー、トライシクルなど現地の乗り物にどんどんチャレンジしました。そしてそこは、温かな交流で満ち溢れていました。
マクタンの路上で流しのタクシーを待っていた時のことです。買い物袋を提げた地元のおばちゃんが声をかけてくれました。
「どこに行くの?」
「ニュータウンまで」
「タクシー待ってるの?タクシーは高いからジプニーにしたら?私と乗ろう!」
子ども連れで乗るにはちょっとだけ勇気がいるジプニー。その日の私にはジプニーを止めて乗り込む気力が足りていませんでした。
私の状況を知ってか知らずか、おばちゃんは颯爽とジプニーを止め、私たちを手招きします。さらに自分が降りる際、運転手に「この人たちニュータウンまで行くから、よろしくね」と声をかけてくれました。親切心に感動していると運転手さんが笑顔で振り返って言いました「目的地だよ」と。
タクシーを利用したら150ペソの距離が、親子3人で33ペソで済みました。でも、得られたのは安さだけでなく「この街は、人を、子どもを放っておかない」というフィリピン人の温かさでした。
もちろん全部が安全ではありません。スマホや財布を無造作に出さない、バッグは必ず前に抱える。そうした基本を守ってこその体験です。
セブの治安について私の本音
ここは凄く個人的な感想です。
もしあなたが、空港や学校、ホテルやショッピングセンターをGrabで呼んだタクシーで行き来する生活を想定しているのなら、特別な心配はいりません。だって、その範囲なら日本と変わらない程度に安全だと言えるからです。
Grabを使えば行き先も値段の交渉も不要だし、英語を使う必要もありません。でもそれってセブに来た意味あるの?と私は思ってしまいます。
少なくとも私にとっては、流しのタクシーやジプニーを使う中で生まれる地元の人との交流、それこそがセブに来た意味であり、現地でしか出来ない体験の一つだと思っています。
今回約一ヵ月滞在して感じたのは「フィリピンの水は汚い」は、もう昔の話だということです。確かに22年前、私がセブ留学をしたときは蛇口から茶色い水が出ました。シャワーや歯磨き時に躊躇することもありました。
でも今回は全く環境が違いました。蛇口からは常に清潔な水が出ます。それは「飲んでも大丈夫では?」と思わせるほど透き通っていました。また語学学校にはあらゆる場所に無料のウォーターサーバーが設置されていました。
一歩外に出ても同じです。スーパーでも公園でも、小さな島でも、あらゆる場所で飲み水は売られていました。飲み水の確保に困った経験は一度もありません。
氷も同様です。小さな店に行くと「これはミネラルウォーターで作った氷だから大丈夫だよ」と教えてくれます。チェーン店の氷は日本と同じで器械から自動的にガラガラ出てきます。いつの間にか「氷は大丈夫」に確信が変わっていました。
長男が深夜のERに搬送。子どもの病気に備える5つのチェックリスト
子どもの病気やケガにどう対処するか、親にとってこれが一番気になる情報です。そして子どもはなぜか「何で今なの?」という最悪なタイミングでトラブルを起こします。
私の場合、長男が深夜のERに運び込まれるという事態を経験しました。
土曜日の夜9時。一人でシャワーを浴びていた長男が転倒し、頭から出血しました。
「顔面蒼白」「吐き気を訴える」「震え」といった、頭を打った時の注意症状が出ている長男を前に私は軽いパニックになりました。一刻も早く病院に連れて行かなくては。
フィリピンでは、滅多なことで救急車を呼べません。自力で病院へ行く必要がありました。さらに、保険会社が「深夜は対応しておりません」「紹介できる病院がありません」という謎の返答をしてきたため、大量の現金が必要になるという不測の事態に陥りました。
通常こうした場合は学校に連絡をします。でも取り乱した私は、直前までやりとりをしていた宮村さんに電話をしていました。宮村さんは状況を理解すると「セブドクターズとUCメディカルが近いよ。あと現金がないと診察してもらえないよ」と救急時の情報を教えてくれました。最終的な決断は私自身でしたが、彼の情報がなければ判断はもっと遅れていたと思います。
今振り返って思うのは、以下の準備が必要だったということです。
実体験から学んだ、セブでの病気・ケガに備える5つの鉄則
①学校から病院までの実際の距離・時間の確認
②近くに大きな総合病院がいくつあるかの確認
③日本語サポートの事前LINE登録(ジャパニーズデスクと寿屋、両方推奨)
④保険会社の深夜対応の確認と、緊急用現金の保持
⑤夜間・休日における学校側への緊急連絡ルートの確保
周囲は可能な限りのサポートをしてくれます。でも最終的に子どもを守れるのは親だけ。「当事者意識を持って、もしもに備える」これは海外に子を連れていく親が絶対に忘れてはいけない準備の一つです。
昼の街と夜の街~子どもを連れて歩けるの?~
有名なショッピングモールAyaraやITパーク周辺は、広い歩道も整備されていて、日本と変わらない感覚で歩けました。
他の地域もやや危ない場所はありますが、それでも5歳・8歳なら、歩けますし歩いていました。
ただ、セブは交通量が多いです。車もバイクもビックリするほど多くの台数が走っていて、信号ムシや逆走も結構あります。道路の横断には時間がかかりますし、コツも必要でした。
また道路も完全に整備されている訳ではありません。凸凹した道、割れている道、電線がとぐろを巻いて放置されている道、何の水だか分からない水たまりの道…ボーっとしながら歩くのはムリというのが正直な感想です。
夜の道を子連れで歩くのはやはり怖さを感じました。街灯の少ない暗闇が広がり、場所によっては怪しい人の姿もあります。
一度だけ陽が沈んですぐの街を子どもと歩いたことがあります。バス停から学校までのほんの僅かな距離でしたが、とても長く感じられました。
怖かったのは人間より、野良犬と野良猫の存在。涼しいからでしょうか。セブでは、夕方~夜にかけて野良犬や野良猫が活動的になります。犬や猫は狂犬病の危険があるため、絶対に避けなければいけません。それだけでも、夜は子どもと出歩くのを避けるべき理由になります。
~終わりに~
セブは、日本のように『何もしなくても安全』な場所ではありません。でも、正しく備え優先順位を間違えなければ、日本では決して得られないほどの温かさと、たくましさ、生きる力に出会える場所です。
今、セブ留学を扱うサイトは無数にあります。私は「想定外」に直面するたび、信頼できる情報の重要性を痛感しました。
宮村さんのように、25年間セブの現場で判断を見てきた人の言葉は、私にとって大きな支えでした。
親子留学では、こうした「現場を知る大人」の存在が、想定外に直面したときの心の支点になります。